知的障害者支援で考えるデジタル遺言―親のスマホは誰が引き継ぐ?

知的障害者支援で考えるデジタル遺言―親のスマホは誰が引き継ぐ? 福祉
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スマホに入っている故人の思い出の写真、ネット銀行の口座、サブスクの契約…「親が突然亡くなったら、どうやって手続きすればいいの?」そんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

2026年6月17日に成立した「デジタル遺言」は、まさにこの問題に光を当てる新しい制度です。

特に、知的障害のあるお子さんを持つ親御さんにとって、「親亡き後」の準備は待ったなしのテーマですよね。

この記事では、デジタル遺言の仕組みや、障害者支援の現場で見た困りごと、そして今からできる準備について、介護福祉士の視点からお伝えします。

「まだ元気だから大丈夫」と先送りせず、一緒に考えていきましょう!

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2026年6月17日成立!「デジタル遺言」って何だろう?

2026年6月17日、参議院本会議で民法改正案が可決・成立しました。

その目玉が、パソコンやスマートフォンを使って作成できる「デジタル遺言(正式名称:保管証書遺言)」です。

すごいですね!遺言書がついに、デジタル時代に追いついてきたんです。

紙とハンコから、スマホとパソコンへ

これまでの遺言書といえば、「全部を手書きしなきゃいけない自筆証書遺言」か、「公証人に頼む公正証書遺言」の2択が主流でした。

でも、手書きは負担が大きいし、公正証書は費用も時間もかかる…。

そこで生まれたのが、デジタル遺言です。

パソコンとメモ帳

引用元:ぱくたそ

デジタル遺言の作成手順は、こんな感じです

  1. パソコンやスマホで遺言の内容を作成(ワープロソフトやメモアプリでOK)
  2. 作成した証書に、署名または電子署名を行う
  3. 法務局の遺言書保管官の前で、全文を口述して本人確認・内容確認を受ける(ウェブ会議も想定されています)
  4. 法務局に保管申請をして、完了

手書きの負担がない一方で、本人確認と全文口述の仕組みがあるため、自筆証書遺言よりも信頼性が確保されています。

つまり、「手軽さ」と「安心感」のいいとこ取りなんですよね!

法務局で保管してもらえるから安心

デジタル遺言のもう一つの大きなメリットは、

法務局が保管してくれること。

自宅で保管していると、紛失したり、誰かに改ざんされたり、そもそも見つけてもらえなかったり…というリスクがありますよね。

でも、法務局に預ければ、そんな心配はありません。

相続人が法務局に問い合わせれば、遺言書の存在を確認できますし、公的機関が管理しているという安心感もあります。

私自身、介護の現場で「遺言書があるはずなのに見つからない」と困っているご家族を何度も見てきました。

だからこそ、この保管制度は本当にありがたいなと思います。

3年以内にスタート予定

改正民法は成立しましたが、実際に制度がスタートするのは公布から3年以内とされています。

つまり、早ければ2028〜2029年頃には利用できるようになる見込みです。

「まだ先の話だな」と思うかもしれませんが、だからこそ今のうちに「何を残すべきか」「誰に何を託すか」を整理しておく時間があるんです。

施設職員として、利用者さんのご家族と話す機会が多いのですが、準備に「早すぎる」ということはありません。

むしろ、元気なうちに考えておくことが、何よりも大切なんですよね。

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知的障害者支援の現場で見た「親亡き後」の困りごと

デジタル遺言の話をする前に、まずは現場で実際に起きている困りごとを共有させてください。

知的障害のあるお子さんを持つ親御さんが亡くなった後、ご家族や支援者が直面する課題は、想像以上に深刻です。

「お母さんのスマホ、開けられません…」

ある日、支援施設の利用者さんのご家族から相談を受けました。

お母様が急逝され、残されたのは知的障害のある30代の息子さんと、遠方に住む妹さん。

お母様は生前、息子さんの生活費をすべて管理していたのですが、問題はスマホのパスワードが誰にも分からなかったことです。

スマホには、銀行アプリ、電子マネーの残高、各種サブスクの契約情報、そして大切な連絡先…すべてが入っていました。

でも、ロックが解除できない

専門業者に依頼すれば解除できるかもしれませんが、費用も時間もかかります。

結局、妹さんは仕事を休んで実家に通い、紙の通帳や郵便物を一つひとつ確認する作業に追われました。「母がもう少し準備してくれていたら…」という言葉が、今も胸に残っています。

銀行口座も、サブスクも、全部わからない

もう一つ、よくあるケースが「財産の全体像が見えない」こと。

ネット銀行、ネット証券、電子マネー、ポイント…今の時代、財産は目に見えない場所にたくさん存在しています。

しかも、故人が几帳面にリストを作っていない限り、遺族がそれを把握するのは至難の業です。

私が関わった別のご家族では、お父様の遺品整理中に、動画配信サービスの月額料金が1年以上引き落とされ続けていたことが判明しました。

年間で数万円…小さな額ではありませんよね。

「解約したいけど、ログインできない」「カスタマーサポートに電話しても、本人確認ができないから対応してもらえない」と、妹さんは途方に暮れていました。

デジタル化が進んだ今、「見えない財産」をどう引き継ぐかは、

誰にとっても共通の課題なんです。

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財産があっても引き継げない悲しい現実

そして、最も切ないのが、財産はあるのに、本人が管理できない

というケース。

知的障害のある方の場合、親が亡くなって相続が発生しても、判断能力が不十分だと、自分で銀行の手続きや相続の書類を整えることが難しいんです。

成年後見制度を利用すれば解決できる部分もありますが、制度の申し立てには時間も費用もかかります。

ある利用者さんは、お母様から相続した預金が数百万円あったのですが、通帳とキャッシュカードの存在を知らず、施設費の支払いに困っていました。

支援者として、「本人のお金なのに、本人が使えない」状況を目の当たりにすると、やるせない気持ちになります。

親御さんが元気なうちに、財産の引き継ぎ方や管理の仕組みを整えておくことが、お子さんの将来を守ることに直結します。

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デジタル遺言があれば何が変わる?具体例で考えてみよう

では、デジタル遺言があれば、こうした困りごとがどう変わるのでしょうか?

具体例を交えて考えてみましょう。

スマホのパスワードも遺言に書けるの?

結論から言うと、

デジタル遺言にパスワードを書くことは「可能だけど注意が必要」です。

遺言書には、財産の分け方や遺言執行者の指定といった法的な内容を記載するのが基本。

パスワードそのものは法的な財産ではないため、直接書くことは推奨されていません。

また、遺言書は相続発生後に複数の人が目にする可能性があるため、セキュリティの観点からも、パスワードをそのまま書くのはリスクがあります。

ただし、「付言事項」

という欄を使えば、法的効力はないものの、家族へのメッセージとして情報を残すことができます。

たとえば、こんな書き方です:

「スマートフォンのパスワードは、書斎の引き出しにあるノートに記載しています。銀行口座やサブスクの一覧も同じ場所にまとめてあります。」

また、

エンディングノートに詳細を書いておき、遺言書では「エンディングノートを参照してください」と指示する方法も有効です。

遺言書はあくまで法的な手続きのため、日常的な情報はエンディングノートで補完するのがスマートですね。

情報を安全に残すコツ

・パスワードは遺言書に直接書かず、別の場所に保管
・保管場所を遺言書の付言事項で指示
・信頼できる専門家(弁護士・司法書士など)に預ける
・法務局の自筆証書遺言保管制度を活用して、遺言書本体をしっかり保管

私自身、登山が趣味で、計画を立てるときは「もしものとき」のルートも必ず考えます。

人生も同じで、

「もしものとき」に家族が迷わないよう、道しるべを残してあげることが大切だと思うんです。

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「誰に何を託すか」をデジタルで残せる時代に

デジタル遺言の本当の価値は、

財産の分け方だけでなく、「想い」や「責任の所在」を明確にできること。

たとえば、知的障害のあるお子さんがいる場合、こんな内容を遺言に残すことができます:

・相続財産の一部を、子どもの生活費として信頼できる兄弟姉妹に託す
・成年後見人の候補者を指定する
・子どもの日常生活の支援を、誰に依頼したいかを記載する(法的効力はないが、家族間で共有できる)

従来の手書き遺言だと、こうした細かい内容を書くのは大変ですが、デジタルなら編集も追加も簡単です。

ライフステージに応じて内容を更新できるのも、大きなメリットですよね。

成年後見人との連携もスムーズになるかも

デジタル遺言と成年後見制度を組み合わせれば、

親亡き後の支援体制がぐっとスムーズになる
可能性があります。

たとえば、遺言書で「長男には預金のうち500万円を、知的障害のある次男には残りの500万円と自宅不動産を相続させる。次男の成年後見人候補として、信頼できる叔父の○○を推薦する」と記載しておけば、相続と同時に後見の準備も進めやすくなります。

また、2026年の成年後見制度改正では、終身制が廃止され、必要な期間だけ利用できる仕組みに変わります。

遺言書と後見制度を連携させることで、お子さんのライフステージに合わせた柔軟な支援が実現できるんです。

施設職員として感じるのは、「親御さんの想いが形になっていると、支援者も動きやすい」ということ。

遺言書は、ご家族だけでなく、支援者にとっても大きな道しるべになるんですよね。

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知的障害のあるお子さんを持つ親御さんに伝えたいこと

ここからは、介護福祉士として、そして一人の支援者として、親御さんに伝えたいことをまとめます。

「まだ元気だから大丈夫」は危険信号

「私はまだ元気だし、子どもも若いから、遺言なんてまだ早い」——施設で親御さんと話すと、こんな言葉をよく耳にします。

お気持ちはすごくわかります。でも、元気だからこそ、今準備すべきなんです。

私が過去に関わったご家族の中には、「もう少し先でいいかな」と思っていた矢先に、親御さんが急な病気で倒れたケースがありました。

準備が何もない状態で相続が発生すると、残された家族は混乱しますし、何より、お子さんの生活が不安定になります。

マラソンをやっていた頃、「スタートラインに立つ準備が、完走のカギ」だと実感しました。

人生も同じで、早めのスタートが、ゴールの安心につながるんですよね。

子どもが困らないための準備は「今」から

では、具体的に何から始めればいいのか?まずは、以下の3つを整理してみてください。

1. 財産のリストを作る

・銀行口座(ネット銀行含む)
・証券口座
・保険
・不動産
・電子マネー、ポイント
・サブスクリプションサービス

2. パスワードや連絡先を一箇所にまとめる

・スマホのパスワード
・銀行アプリのログイン情報
・各種サービスの連絡先
→エンディングノートや専用のファイルにまとめて、信頼できる人に保管場所を伝えておく

3. 誰に何を託すか、家族で話し合う

・財産の分け方
・成年後見人の候補者
・日常生活の支援を誰に頼むか
→話し合った内容を、デジタル遺言やエンディングノートに残す

「背筋を伸ばす」ことを大切にしている私ですが、準備をしっかりすることも、人生の背筋を伸ばすことだと思っています。

先送りせず、今できることから始めましょう。

施設職員として、家族に寄り添うためにできること

支援者の立場から言えば、親御さんが遺言やエンディングノートを準備してくれていると、

支援の質が格段に上がります

たとえば、利用者さんの好きな食べ物、苦手なこと、大切にしている習慣…こうした情報が引き継がれていると、親御さんが亡くなった後も、本人らしい生活を続けやすくなります。

逆に、情報がないと、支援者は手探りで対応するしかありません。

だからこそ、「親心」を形にして残してほしいんです。

デジタル遺言は、まさにその道具になると思います。

施設で働いていると、利用者さんの日常の小さな変化に気づくことがあります。

朝日を見て嬉しそうにしている姿、新しい経験に目を輝かせている瞬間…。

そんな「その人らしさ」を、これからも大切にしていきたい。

そのためには、ご家族との連携が欠かせないんですよね。

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デジタル遺言と成年後見制度、どう使い分ける?

デジタル遺言と成年後見制度は、どちらも「親亡き後」を支える仕組みですが、役割が異なります。

両方を理解して、上手に組み合わせることが大切です。

両方セットで考えると安心度アップ

デジタル遺言の役割
・財産の分け方を指定する
・遺言執行者を指定する
・家族へのメッセージを残す
→「死後」の手続きをスムーズにする

成年後見制度の役割
・判断能力が不十分な方の財産管理をサポート
・契約や法的手続きを代行
・詐欺や浪費のリスクから守る
→「生前から死後まで」の継続的な支援を提供

つまり、デジタル遺言は「財産の行き先」を決め、成年後見制度は「財産の守り方」を担うイメージです。

両方を組み合わせることで、お子さんの生活を長期的に守ることができます。

たとえば、こんなプランが考えられます:

  1. 親が元気なうちに、デジタル遺言で財産の分け方と後見人候補を指定
  2. 親の死後、成年後見制度を利用して、お子さんの財産管理を後見人に託す
  3. お子さんが自立した生活を送れるよう、後見人と支援者が連携

このように、制度を組み合わせることで、切れ目のない支援体制が作れるんです。

成年後見制度の見直しも同時進行中

実は、デジタル遺言と同じタイミングで、成年後見制度も大きく変わります

2026年4月に閣議決定された改正案の主なポイントは、以下の5つです:

  1. 終身制の廃止:必要な期間だけ利用できる
  2. 3類型の一本化:「後見」「保佐」を廃止し、「補助」に統合
  3. 支援範囲の限定化:必要な行為だけをサポートする「オーダーメード型」へ
  4. 後見人の交代が柔軟に:本人の利益のために見直しやすくなる
  5. 報酬制度の透明化:費用の見通しが立てやすくなる

これまでの成年後見制度は、一度利用すると一生続く「終身制」だったため、「必要な時期だけ使いたい」という声に応えられませんでした。

でも、改正後は、たとえば「遺産分割協議のためだけに利用する」といった使い方も可能になります。

施設職員として、この改正は本当にありがたいと感じています。

利用者さんのライフステージに合わせて、柔軟に制度を活用できるようになるからです。

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世間の反応やSNSの声

デジタル遺言や成年後見制度の改正について、SNSではどんな声が上がっているのでしょうか?

ポジティブな意見:
・「手書きが苦手だから、デジタルで作れるのは助かる!」
・「法務局で保管してくれるなら、紛失の心配がなくて安心」
・「親のスマホのパスワードがわからなくて困った経験があるから、これは必要な制度」
・「成年後見制度が終身じゃなくなるのは画期的!」

不安や疑問の声:
・「デジタルだとセキュリティが心配…」
・「結局、パスワードはどうやって残せばいいの?」
・「施行まで3年もかかるのか。早く使いたい」
・「成年後見制度、改正されても費用が高そう」

SNSの反応を見ていると、期待と不安が入り混じっている印象です。

確かに、デジタル遺言は新しい制度なので、「どう使えばいいかわからない」と感じる方も多いでしょう。

でも、だからこそ、今のうちに情報を集めて、準備を進めておくことが大切だと思います。

私自身、新しいことに挑戦するときは少し不安になりますが、「石橋を叩いて渡る」ように、一歩ずつ進めば大丈夫。

デジタル遺言も、まずは専門家に相談してみるところから始めてみてはいかがでしょうか。

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まとめ:デジタル遺言は「親心」を形にする新しい道具

デジタル遺言について、この記事で分かったことをまとめます。

【要点まとめ】
・2026年6月17日に民法改正案が成立し、デジタル遺言(保管証書遺言)が導入される
・スマホやPCで作成でき、法務局が保管してくれるから安心
・3年以内(2028〜2029年頃)に施行予定
・知的障害者の「親亡き後」問題として、スマホのパスワードや財産の引き継ぎが課題
・デジタル遺言と成年後見制度を組み合わせることで、切れ目のない支援が可能に
・成年後見制度も2026年に大きく改正され、終身制廃止や3類型一本化が実現
・「まだ元気だから大丈夫」ではなく、「元気なうちに準備」が鉄則

デジタル遺言は、単なる「財産の分け方を書く紙」ではありません。

親御さんの想いや願いを、次の世代に確実に届けるための道具
なんです。

知的障害のあるお子さんを持つ親御さんにとって、「この子が困らないように」という想いは、誰よりも強いはず。

その親心を、形にして残してあげてください。デジタル遺言は、そのための新しい選択肢です。

私は介護福祉士として、これからも利用者さんとそのご家族に寄り添っていきたいと思っています。

そして、デジタル遺言や成年後見制度の改正が、一人でも多くの方の安心につながることを願っています。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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