「繭」と聞いて、何を思い浮かべますか?
艶やかなシルクの糸、あるいは昔ながらの養蚕の風景でしょうか。
でも今、繭は“糸”の枠を超えて、医療・美容・食といった私たちの暮らしの中で新たな役割を担い始めています。
2025年10月16日放送の『がっちりマンデー!!』では、そんな繭が「斜陽産業スター」として紹介されました。
かつて衰退の一途をたどっていた養蚕業が、技術と発想の転換によって再び注目を集めているのです。
この記事では、番組で紹介された内容をもとに、繭の“今”と“これから”を医療・美容・食の視点から紐解いていきます。
医療分野:命を支える繭の力
「繭」と聞くと、衣類や着物の素材というイメージが強いかもしれません。
でも実は、繭から生まれるシルクは、医療の現場でも命を支える素材として活躍しています。
手術用縫合糸としてのシルク
シルクは純粋なタンパク質でできており、人体との親和性が高い素材。
細くて強く、適度な弾性と柔軟性があるため、縫合糸として根強い人気があります。
結びやすく、解けにくいという特性も、外科手術において重要なポイントです。
再生医療への応用
シルクは人工腱や靭帯、人工血管の素材としても研究が進んでいます。
骨との結合性が高く、生体組織に近い性質を持つため、再生医療の分野で注目されています。

引用元:ぱくたそ
遺伝子組換えカイコによる医薬品生産
カイコに特定の遺伝子を組み込むことで、診断薬やワクチンの原料となるタンパク質を生産する技術が確立されています。
これにより、従来はヒトや動物の体からしか得られなかった成分を、安定的かつ低コストで供給できるようになりました。
特に感染症診断薬の分野では、途上国向けに熱耐性の高い製品が開発されるなど、命を守る技術として期待されています。
シルクって肌触りがいいだけじゃなくて、体の中でもやさしく馴染むんですね。
昔ながらの養蚕が、こんな最先端の医療に関わってるなんて…なんだか感動してしまいました。
美容分野:肌にやさしい天然素材
繭から生まれるシルクは、肌にやさしい天然素材として、美容の世界でも注目を集めています。
特に、繭に含まれる「セリシン」や「フィブロイン」という成分は、保湿や美白、抗酸化作用など、肌にうれしい働きを持っています。
セリシン:保湿と美白を叶える“繭のうるおい”
セリシンは、繭の外側を覆うタンパク質で、肌の角質層に近い成分構成。
保湿力が高く、乾燥肌や敏感肌のケアに適しているとされています。
メラニン生成を抑える働きもあり、美白効果にも期待が寄せられています。
かつては廃棄されていた成分が、今では高級化粧品の主成分に──まさに“再発見”の素材です。
フィブロイン:肌なじみの良さとハリ感
フィブロインは、繭の中心部にあるシルクの主成分。
肌にすっとなじみ、ハリや弾力を与える効果があるとされ、エイジングケアにも活用されています。
微粉末化されたフィブロインは、ファンデーションや口紅などのメイクアップ製品にも使われています。

引用元:ぱくたそ
製品例と広がる可能性
セリシン入りの化粧水、乳液、クリームは、自然派志向の方に人気。
フィブロイン配合の美容液やパックは、肌の再生力を高めるアイテムとして注目。
最近では、繭そのものを使った洗顔パフやスキンケアグッズも登場し、やさしい使い心地が話題に。
「セリシンって、繭のうるおい成分なんですね」
自然のものって、やっぱり肌にしっくりくる気がします。
繭がこんな形で私たちの美容を支えてくれてるなんて、ちょっと感動です。
食品分野:食べるシルクの栄養価
「繭が食べられるって本当?」
そんな驚きの声が聞こえてきそうですが、実は繭由来の成分は、健康食品としても注目を集めています。
シルクはほぼ100%がタンパク質で構成されており、消化・吸収性に優れた“食べるシルク”としての可能性が広がっているのです。
シルクパウダー:生活習慣病予防に期待
シルクをペプチドやアミノ酸に分解処理することで、食品として摂取可能に。
血糖値の抑制、代謝改善、肝機能の向上など、生活習慣病予防への効果が期待されています。
実際に、シルクパウダー入りのうどんやパンなどが商品化され、栄養価の高い食品として販売されています。
カイコ蛹:高タンパク・低脂質の昆虫食
製糸の副産物として生まれるカイコの蛹は、古くから養殖魚の餌などに使われてきました。
最近では、昆虫食の一環として、カイコ蛹の栄養価が再評価され、食用としての商品化が進んでいます。
タンパク質が豊富で、脂質が少なく、環境負荷も低い“次世代の代替タンパク源”として注目されています。
桑の実・桑茶との組み合わせ
繭とともに育つ桑の葉や実も、健康食品として人気。高血圧や動脈硬化、糖尿病予防に効果があるとされ、ジャムやお茶として販売されています。
「繭って、食べられるんですね…!」
最初はびっくりしましたけど、アミノ酸が豊富で健康にもいいって聞くと、なんだかありがたみを感じます。
シルク入りのうどんやパン、ちょっと食べてみたくなりました。
まとめ
繭は、糸を紡ぐだけの存在ではありません。
医療では命を支える素材に、美容では肌にやさしい成分に、そして食品では健康を支える栄養源に。
斜陽と思われた養蚕が、私たちの暮らしの中で静かに、力強く、再び輝き始めています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。 yuzuhana

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