2025年8月2日
日本人宇宙飛行士・油井亀美也さんが搭乗した民間宇宙船「クルードラゴン」が、ISS(国際宇宙ステーション)とのドッキングに成功しました。
10年ぶりに宇宙へと旅立った油井さんの姿に、胸が熱くなった方も多いのではないでしょうか。
そんな油井さんの経歴や家族、そして宇宙飛行士を目指したきっかけを、やさしく紐解いていきます。
油井亀美也さん(ゆい・みきや)経歴
項目 | 内容 |
---|---|
生年月日 | 1970年1月30日(長野県南佐久郡川上村出身) |
家族構成 | 妻・恭代さん、息子2人・娘1人の5人家族 |
学歴 | 防衛大学校(理工学専攻)卒業(1992年) |
前職 | 航空自衛隊F-15戦闘機パイロット、テストパイロット |
階級 | 二等空佐(退官時) |
宇宙飛行士選抜 | 2009年、JAXA第31期宇宙飛行士訓練生に選抜 |
初飛行 | 2015年7月〜12月、ISS第44次/第45次長期滞在(約142日) |
現在 | 2025年、民間宇宙船「クルードラゴン」でISSへ再び長期滞在中 |
宇宙飛行士になったきっかけ
川上村の美しい星空に魅了
油井さんの出身地
長野県南佐久郡川上村は標高1,000メートルを超える高原地帯に位置しています。
周囲を深い山々に囲まれたこの村は、都市の光が届かない“天然のプラネタリウム”とも呼ばれる場所。
街灯や信号が少なく、澄んだ空気と静寂が広がる夜には、満天の星が頭上を埋め尽くします。
幼い頃の油井亀美也さんは、この星空を見上げながら、宇宙への憧れを育んでいきました。
「星があまりにも近くに感じられた」そんな感覚が、やがて彼を戦闘機パイロットへ、そして宇宙飛行士へと導いていったのです。

川上村では現在も星空観察会が開催されており、最新型の望遠鏡を使って初心者でも気軽に天体観測が楽しめます。
油井さんの原点に触れるような体験が、誰にでもできるのです。
夏の川上村は、星空のベストシーズンですよ!
あきらめた夢
小学生だった頃、星空を見上げながら、ふわっと思ったようでうです。
「いつか宇宙に行けたら、きっとすごいだろうな」って。
でも、成長するにつれて現実との距離に気づき、その夢はそっと引き出しの中にしまわれました。
それから油井さんは、自衛隊という道を選びました。
毎日厳しい訓練を重ねながら、航空自衛隊のテストパイロットとして空を飛ぶ日々。
夢は、もう遠い昔のものになったはずでした。
けれど、空を見上げたとき。
星が瞬いたとき。
心の奥で、しまっていたはずの「夢」が、静かに、でも確かに、息をしていたのかもしれません。
映画『ライト・スタッフ』
ある日、ふらりと入ったレンタルビデオ店。
なんとなく棚を眺めていた油井さんの目に留まったのが、一本の映画『ライト・スタッフ』でした。
NASAのマーキュリー計画に選ばれた宇宙飛行士たちの実話をもとにしたこの作品には、極限に挑むテストパイロットたちの覚悟や、宇宙飛行士としての使命感が描かれていて…そのひたむきな姿が、静かに心を揺らしました。

スクリーンの中の彼らのように、自分も、もう一度挑戦できるんじゃないか。
「まだ、間に合うかもしれない」
そんな想いが胸に芽吹いたそのタイミングで、奥様がそっと差し出してくれたのがJAXAの宇宙飛行士募集要項。
「これ、応募してみたら?」
その一言が、最後のひと押しになりました。
しまっていた夢の引き出しが、音を立てて開く。
そうして、油井さんは再び、宇宙への扉に手を伸ばすことになるのです。
学歴
学歴区分 | 学校名 | 備考 |
---|---|---|
高校 | 長野県野沢北高等学校 | 地元・長野県の進学校 |
大学 | 防衛大学校(理工学専攻) | 1992年卒業、第36期生 |
防衛大学校は幹部自衛官を養成する国立の大学校で、学費がかからず、卒業後は自衛隊に入隊する進路が基本です。
油井さんはこの道を選び、航空自衛隊に入隊後、F-15戦闘機のパイロットやテストパイロットとして活躍しました。
ちなみに、大学在学中は儀仗隊にも所属していたそうですよ。
こうした経験が、後の宇宙飛行士としての資質にもつながっていったのかもしれませんね。
油井亀美也さんの学歴を見て思うのは、「目の前の現実と向き合いながら、自分の可能性を伸ばしてきた人なんだな」ということです。
防衛大学校への進学は、宇宙飛行士としては珍しいルートかもしれませんが、だからこそ彼の物語には説得力がありますよね。

理工系の学びを土台にしながら、実践で鍛えられる環境で腕を磨き、その後テストパイロットとして数々の空のミッションに挑戦。
夢に直結していなくても、「今、自分にできること」に誠実に取り組み続けたことが、後に宇宙への道につながっていった…そんな風に感じます。
そして何より、特別な学校名よりも、どんな環境でも諦めずに努力し続けた姿勢そのものが、彼の“ライトスタッフ”だったのかもしれません。
家族構成
家族 | 人数・関係 | 備考 |
---|---|---|
両親 | 父:油井誧司、母:八重子 | 長野県川上村の農家に生まれる |
兄弟姉妹 | 姉が2人 | 長男として誕生 |
配偶者 | 妻:恭代さん | 宇宙飛行士応募のきっかけを作った人物 |
子ども | 息子2人、娘1人 | 3人の子どもに恵まれる |
宇宙滞在中には、地上の家族との交信で優しさあふれる言葉を届けたエピソードもあり、家族への深い感謝と愛情が感じられます。
宇宙から届いた言葉は、まるで星の光のように、地上の家族の心をそっと照らしました。
また、奥様がJAXAの募集要項を持ち帰ってきたことが、夢への再挑戦の背中を押すきっかけになったというのも印象的ですね。

まとめ
長野県川上村出身の油井亀美也さんは、防衛大学校を卒業後、航空自衛隊でテストパイロットとして活躍。
3人の子どもと妻・恭代さんに支えられながら、2009年にJAXAの宇宙飛行士候補に選ばれました。
映画『ライト・スタッフ』との出会いや、奥様の「応募してみたら?」という一言が、幼い頃に描いた夢を再び動かすきっかけとなったのです。
夢って、誰かのさりげないひとことでまた芽吹くものなんだなぁ… 油井さんご夫婦の言葉のやりとりに、静かな勇気をもらいました。
最後まで読んでいただきありがとうございました yuzuhana
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